人間の”記憶“というものは、どのくらいの期間保てるものなんだろう。
成田から3時間。現在、北京に来ています。今からちょうど30年前、初めて外国に出た時に、最初の着陸地がここ北京でした。32時間のコペンハーゲンへの渡航のための最初のストップオーバー。(なにしろ当事一番安いパキスタン航空だったので、経由地が多かったんです)。
北京空港といっても、あの時は、ほんとうにみすぼらしい空港で、毛沢東の肖像画がガンと貼ってある以外、何もない空港でした。ちょうど1時間の待ち時間があったので、僕は空港から少し出て散歩を始めました。
ところが、戻ってくる時間を間違えたらしく、空港にたどり着くと、500メートルぐらい先に見える飛行機のタラップが今まさに取り外されようとしている矢先。僕は、「待ってくれ〜!!」と大声で叫んでその500メートルを全力疾走した。係員が気がついて、タラップを再び装着。僕はギリギリのタイミングで飛行機に乗り込んだ。どーっと汗が吹き出た。
もし、あの時、あと1分遅れてたらどうだったんだろうと後で思った。格安切符だったので、次の便というわけにはいかない。翌日、日本に強制送還されてたか、不法侵入で北京の牢獄に入れられたのか。なにしろ、あの後、2年間イギリスに滞在したわけだから、もしあの飛行機に間に合ってなかったら、今の自分はなかっただろう。
今は、来年の北京オリンピック開幕を前に、街は活気を帯びて、「これがあの中国?」と自分の既成概念を破られる。中国は僕たちが想像する以上のスピードで変化している。
(前回、街のランドスケープ(3)は田園都市線・用賀駅の近くの交差点で撮影したものでした)