今日もライブ考を。
Q 今回のライブで比較的満足できた曲は?
A 第3ステージのトップに演奏した『荒城の月』です。前から日本のメロディーをジャズにしたかったので、最初はちょっと自己満足っぽいかなって思ってたんですが、あとで「あの『荒城の月』はカッコよかったよ」とのコメントを聞いてほっとしました。
リハのたびに編曲を変えたので、最後の方にはメンバーにはあきれられていましたが・・・。あの曲がうまくいったのは、他のメンバーの柔軟性と忍耐力のおかげですね。
Q どんな点を工夫したんですか?
A 音質的に”日本の響き”を大切にしました。そこで、アルトサックスのさよりにフルートをお願いし、僕はアルコ(弓)でベースを弾いてテーマを演奏したりしました。狙いはフルートが雅楽の笙(しょう)のように響き、ベースが琴のようにはじけること・・・でした。あのわずかワンフレーズの演奏のために5万円もするアルコを買ってしまい、あとでどっと反省(笑)。もちろんこれからもどんどん使いますけど!
Q 特にこの曲を選んだ理由は?
A 季節感です。中秋の名月といいますが、『荒城の月』は、澄んだ秋の空に上がるというイメージがありました。『枯葉』はもちろん、『アラバマに降る星』(Stars Fell On Alabama)も、秋の夜空を感じさせてくれる曲でした。
秋をイメージした曲としては、
Early Autumn(初秋)、
Autumn in New York (ニューヨークの秋) などまだまだありますね。こうしてみると、ジャズには結構季節感にあふれた曲が多いんですよね。
Q ほかにも試みたことは?
A 基本的にはアルトサックスのクインテットですから、サックスがほとんんど前面に出ますが、できるだけ個々の持ち味をいかすため、ギターをフィーチャーした『アナザーユー』や、ピアノでテーマを取った『枯葉』などで変化をつけました。今回は、ドラムとベースはリズムセクションに徹しましたが、あとから「なんでドラムとベースのソロがないの?」という指摘も受けました。ごもっとも。間に合わなかったんです(笑)。
Q 全般的に到達できたことは?
A やっぱり最後の最後にリズムセクションのドラムのコジローと呼吸が合ったことですね。そして、どちらかというとそれまで自分の苦手だったチャーリーパーカーのBillie’s Bounce やOLEOを思い切り楽しめたことは、大きな収穫でした。ソリスト達も現時点で持てる力を十分出し切ったと思います。
Q ライブの楽しさを一言でいうと?
A メンバーひとりひとりが今までで最高の演奏をする瞬間・・・その中に自分も一緒にいられるということ。その音をみんなと作り出している場所に一緒にいられることに、最高の充実感を感じます。
Q これからはどんな活動を考えてますか?
A はい、それはもう一日考えて次回お話しますね。(つづく)