2月19日の「上海人形ライブ」のあたりから、自分の中に「ルネッサンス」とでも言いたくなるような意識変革が起き始めた。
それは、2年前の1月にセッション活動を始めてから、今日までおよそ200回を越えるセッションを経て、初めて起きた“新たな現象”だ。
ひとつは、「上海人形」ライブの翌日、急に「何かが終わった」気がしたこと。それは、大きな満足感と現実感の不思議な交錯・・・つまり、この2年間、走りに走ってきたが、まあ、置かれた環境の中でやれることは全部やったのかな、でまあ、こんなもんが自分の限界かな。きっと、ここがひとつの到達点で、ひとつの出発点なのかな、というそんな気分。
こんな例はどうだろう。仕事に熱中していたある夜、突然深い眠りに落ち、何を思ったか自分がジャズを始める夢を見る。え?今からジャズを始める?・・・そのうち、まわりに何人ものジャズ仲間ができ、ライブなんかもやってしまう。え、まさかこの僕がジャズのライブを・・・?と思った瞬間、目が覚めて、「ああ、そうだよな。やっぱりあれは夢だったんだ」とベッドから起き上がって、なにごともなかったかのようにスーツに着替えて仕事に出かける。上海人形ライブの翌日はそんな気分だった。2年間のハッピーな夢。
もうひとつの「ルネッサンス」(意識変革)は、2月10日から受け始めたベース・レッスンで奏法がこれまでと大きく変わったこと。以前も紹介したイタリア奏法だ。
これにより、急にピッチが安定してきて、しかも体の力を抜いて楽に演奏できるようになった。ほんのちょっと持ち方を変えてだけでだ。ベースが自分の体の一部になったような一体感がある。実に楽だし、自分で自分の音がよく聞こえてくる。
「こんな効率的な奏法があったんだ・・・じゃあ、今までのあのがむしゃらな2年間は一体なんだったんだ」とでも言いたくなる。
で、結論を急ごう。
この2つの「ルネッサンス」の結果、僕はベースを始めてやっと、のんびりと壮大な気分になることができた。まるで、あのモルダウ川の流れのように。
3回目のレッスンでベースの先生がこう言った。
「今日やった練習をあと2〜3年続けていけば、自分でも驚くほどピッチがよくなりますよ」。(はい、確かに。2週間でもう効果が出てきてますから)
しかし、そのあと、ベースの先生は僕が昨年購入したばかりのドイツ製のエマニュエル・ウィルファーのウッドベースを見てこう言った。
「このベースはまだ木が新しいから、あと50年くらい演奏すれば本当にいい音が出てくるはずですね」。
ううう。ルネッサンスはまだまだ終わらない。