時代小説を読んでいると、武士の世界には、現代ともほぼ共通したテーマがあることに気がつく。
それは「権力の獲得」と、「組織づくり」。これらは、現在のサラリーマンの生活にも似たものだ。が、現在との根本的な違いは、当時は無能なリーダーの下に属してしまったら最後、報われることもなく、最後は、合戦に負けて命を落としてしまうということだ。(今なら、出世しないとか、給料が上がらないくらいだろうが)
もうひとつ、必ず出てくるのが女性の存在。古今東西、強力なリーダーは、それなりに女性に対する欲望も強い。そして、「戦い」と「女性」は、必ずと言っていいほど、セットになって登場する。そして、女性との微妙な関係が、その人物の人生のゆくえを大きく左右する。これは現代も同じだ。
ところで、『義経』を読んでいると、音楽好きなある公家を表現するのに、「音曲(おんぎょく)にうつつをぬかす」という言葉を使っている。「うつつをぬかす」とは、どういう意味か? なんだか、否定的な響きがある。
「大辞泉」で調べてみると、「ある事に夢中になり、心を奪われる」とある。これなら、人生をエンジョイしている感じで問題はない。が、使用例として、「競馬競輪にうつつをぬかす」とある。どうも、例がよくない。本来やるべきことをやらないで・・・・という否定的なニュアンスがある。
一方、「大辞林」で調べてみると、「ある物事に過度に熱中する」とある。なるほどこれならわかりやすい。「過度に熱中する」・・・自分の場合はこれだ。
一生懸命ベースを弾いても、0.1ミリずつぐらいのスピードでしかうまくならない。一体いつまで、「ウッドベースにうつつをぬかす」生活を続けることができるのだろうか。